「遅い!」をなくす仕組み:インターネットの通信速度を決める7つの壁

  • 2025.12.04
  • IT
「遅い!」をなくす仕組み:インターネットの通信速度を決める7つの壁

「遅い!」をなくす仕組み:インターネットの通信速度を決める7つの壁

🚀 はじめに:君が見ている世界は「七層構造」でできている

君がスマートフォンでYouTubeの動画をタップしたとき、たった数秒でその映像が目の前に現れる。この奇跡的なスピードは、目に見えないところで、幾重もの複雑なルール(プロトコル)が完璧に連携しているからこそ実現している。

インターネットの仕組みを理解するということは、単にケーブルが繋がっていることを知るだけでなく、データが移動する際の**「7つの壁(レイヤー)」**の役割を知ることだ。この構造を理解すれば、「なぜ通信が遅いのか?」「どうすれば速くできるのか?」がクールに、そして論理的に説明できるようになる。

この記事では、すべてのITエンジニアの基礎となる、インターネットの七層構造と、通信速度を決定づける仕組みを徹底的に解説する。

TCP/IPとOSI参照モデル:インターネットの「設計図」

現在、インターネットの通信は主にTCP/IPモデルという簡略化されたモデルに基づいているが、より概念的かつ詳細に通信の流れを理解するために、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルという七層構造が使われる。

この七層の壁は、データが君のスマホからサーバーまでたどり着くために、下から上に、そしてサーバー側で上から下に通過するプロセスを表している。

7つのレイヤーの役割(下から順に)

No. レイヤー名 役割(壁の機能) 代表的なプロトコル
7 アプリケーション層 ユーザーが直接触れるサービス(ブラウザ、メールなど)を提供する。 HTTP, FTP, SMTP
6 プレゼンテーション層 データの表現形式(暗号化、圧縮など)を調整する。 SSL/TLS (暗号化)
5 セッション層 通信の開始から終了までの「セッション(接続)」を管理する。 NetBIOS
4 トランスポート層 データを確実に相手に届ける方法を決定する。 TCP, UDP
3 ネットワーク層 データが目的地までたどり着くための「道案内」(ルーティング)をする。 IP
2 データリンク層 直接つながっている機器間のデータの受け渡しルールを決定する。 Ethernet
1 物理層 ケーブルや電波など、物理的な接続を担う。 LANケーブル、Wi-Fi電波

通信の核心:トランスポート層の二大巨頭 (TCPとUDP)

レイヤー4のトランスポート層は、通信の品質を決定する最も重要な壁だ。ここで使われるTCPUDPは、データ通信における二つの哲学を表している。

TCP:信頼性と丁寧さの哲学 (Transmission Control Protocol)

  • 特徴: 確実性を重視。データを送るたびに相手から「受け取ったよ」という確認(ACK)を取り、もし届かなければ再送する。

  • 用途: Webサイト閲覧(HTTP)、ファイル転送(FTP)など、データが一つでも欠けたら困る通信

  • クールな視点: 丁寧だが、その分、確認応答(スリーウェイ・ハンドシェイク)のやり取りで**遅延(Latency)**が発生しやすい。

UDP:速さと効率の哲学 (User Datagram Protocol)

  • 特徴: 速度を重視。送りっぱなしで、相手が受け取ったかの確認はしない。データが多少欠けても構わない。

  • 用途: オンラインゲーム、ライブ動画ストリーミング、音声通話など、リアルタイム性が重要な通信

  • クールな視点: 無愛想だが、その分オーバーヘッドが少なく、圧倒的に速い。ゲームで一瞬コマ落ちしても通信を止めないのはUDPのおかげだ。

「遅い!」をなくす仕組み:速度を決定する要素

通信速度の遅延(レイテンシ)は、これら7つの層のどこかで発生している。

  1. 物理層の壁(距離と媒体): サーバーとの物理的な距離が遠いほど、光や電波の伝達に時間がかかる。また、光ファイバーケーブルの方が、古い銅線ケーブルより速い。

  2. ネットワーク層の壁(ルーティング): データが目的地に着くまでに経由するルーターの数が多すぎたり、ルーター自体が混雑していたりすると、道案内に時間がかかる。

  3. トランスポート層の壁(TCPオーバーヘッド): TCPの丁寧な確認応答のやり取りが増えると、その分時間がかさむ。

  4. アプリケーション層の壁(サーバー処理): 通信自体が速くても、サーバー側のプログラム(君が作ったバックエンドコード)の処理が遅ければ、結果的にレスポンスは遅くなる。

エンジニアとしての進化:ネットの仕組みを極める

ネットワークの仕組みを理解することは、トラブルシューティング能力の基礎であり、プロのエンジニアにとって不可欠なスキルだ。

  • デバッグ: アプリが動かないとき、それが自分のコードの問題なのか、それともネットワーク設定の問題なのかを切り分けられるようになる。

  • 設計: 開発する機能に応じて、「確実なTCPを使うべきか、高速なUDPを使うべきか」を論理的に判断し、最適なシステム設計ができるようになる。

今すぐ君がすべきこと:

  • 自分のPCでping [WebサイトのURL]コマンドを打ち、そのWebサイトまでの往復時間(レイテンシ)を確認してみること。

  • tracert (Windows) または traceroute (Linux/Mac) コマンドを使い、自分の通信が目的地までどんな経路をたどっているかを観察すること。

インターネットは目に見えない壮大なインフラだ。この七層構造をマスターすれば、君は「通信の遅さ」の謎を解き明かし、その最適化に貢献できる真のネットワーカーになれる。

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